目次
1.人はなぜ緊張してしまうのか
2.体の状態とパフォーマンスの関係を表す「逆U字理論」
2-1.「ゾーン」「フロー」状態
2-2.緊張・興奮状態が高い時
2-3.緊張・興奮状態が低い時
3.まとめ
1.人はなぜ緊張してしまうのか
普段のトレーニングでは緊張しないのに、大事な試合や大きい大会、大勢の人の前で緊張してパフォーマンスを発揮出来なかった経験をしたことがある人も多いと思います。
ではなぜ人は緊張してしまうのでしょうか?
なぜ人は緊張してしまうのかを脳科学の観点から見ていきます。
緊張とは本来大昔から人間に備わっている防衛本能で外敵から自分を守るための準備をするために脳から司令を出している状態にあり、緊張することは悪いことと思われがちですが、パフォーマンスを発揮するために必要な要素でもあり、人間としての機能が正常に働いている状態です。
緊張すると心拍数が上がったり、汗をかいたりすることがあると思いますが、人が緊張すると脳がストレスを感じ、体内で神経伝達物質である「ノルアドレナリン」という物質を分泌します。
これは、ストレスに反応して出てくる神経伝達物質で、この「ノルアドレナリン」が、緊張したときに起こる身体のさまざまな症状の原因で心拍数が上がったり、汗をかいたりと一見ネガティブに思われものもありますが、集中力・判断力・注意力の向上や筋肉の機能向上などのスポーツをする上でポジティブに働くものでもあります。
緊張のもとである「ノルアドレナリン」が過剰に分泌されると、「イライラ」や「恐怖心」などにつながることもありますが、「やる気」や「集中力」などを高める効果もあり、ある程度の緊張は必要で、大事なのはバランスでありコントロールすることです。
2.体の状態とパフォーマンスの関係を表す「逆U字理論」
トレーニングや試合において体の調子がとても良く、モチベーションもかなり高く、感覚的に絶対できると自信に満ちた状態になった経験をしたことがあるでしょうか?
そういった状態は「ゾーン」「フロー」などと呼ばれており、スポーツ選手が目指すべき理想の心理状態といわれていますが、心や体の緊張・興奮の状態と、パフォーマンスの関係を表した「逆U字理論」というものがあります。
上図が「逆U字理論」の図ですが、縦軸はパフォーマンスの高さを表していて、上に行くほどパフォーマンスは高くなり、横軸は心や体の緊張・興奮の状態を表していて、右に行くほど緊張・興奮の状態が高いことになります。
いつも「ゾーン」「フロー」の状態でプレーすることが理想ですが、体の緊張・興奮状態が高くなりすぎたり、低くなりすぎると「ゾーン」「フロー」の理想の心理状態に入ることはできないので、自分の心の状態、体の状態を適切に理解してコントロールする必要があります。
2-1.「ゾーン」「フロー」状態
上図の真ん中に位置する時で理想的な心理状態であり、緊張感として高すぎず低すぎず適切な状態です。
この状態の選手が体験する心理状態や現象として「絶対的な自信」「すべてをコントロールできる万能感」「時間間隔の変化」などがあります。
2-2.緊張・興奮状態が高い時
上図の右側に位置する時で緊張が高すぎる過緊張状態であり、あせりやあがり、不安を感じる状態です。
この状態の選手が体験する心理状態や現象として、「心臓の鼓動が高くなる」「体が硬くなり思うように動かない」「疲労度の増加」などがあります。
2-3.緊張・興奮状態が低い時
上図の左側に位置する時で状態で緊張感が全くなく、だらしく、注意が散漫、体が重いなどを感じる状態です。
この状態の選手が体験する心理状態や現象として「試合直前なのに気分が乗らない」「やる気が出ない」「闘争心の低下」などがあります。
3.まとめ
自分がどういう状況の時にどんな状態になりやすいのか、例えば大事な試合の時には緊張・興奮の状態が高くなる、午後から試合の時やご飯を食べた後の時には緊張・興奮の状態が低くなるなど「自己分析」をして自分を理解していきましょう。
「自己分析」したうえで、緊張・興奮の状態が高い時は緊張感を下げる方法、緊張・興奮の状態が低い時は緊張感を上げる方法を使って自分をコントロールして理想の心理状態に近づけていきます。
緊張・興奮の状態が高い時にも低い時にも使えるのが「呼吸法」で、高い時には「リラクゼーション」の「呼吸法」低い時には「サイキングアップ」の「呼吸法」を使うことが有効です。
緊張は感情の部分との結びつきも強いので、どのような感情の時に、どのように自分が変化するかも試しながら感じていってほしいと思います。
また調子が良かった時、悪かった時の自分の心や体の状態を理解することも重要になってきます。
緊張するということは裏を返せば、その状況や相手を重要と捉えているということでもあり決して悪いことではないので緊張出来る自分をポジティブに捉えてほしいと思います。